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「和歌」が平安文学の基本であるように、「俳諧」(今の俳句のもとになった文学)は江戸文学の基本です。中でも有名な俳人は芭蕉ですが、「古池や蛙飛び込む水の音」という句の禅的なイメージや、「月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり」という『おくのほそ道』冒頭の難解な印象が強く、俳諧とは哲学的なもの、或いは感情を排した写生だと思われがちです。けれども実際にはさまざまな流派があって、大名から町人まで楽しめるものでした。先入観を捨てて、例えば「蛙」はどんなふうに和歌に詠まれ、俳諧に詠まれるものだったのか、を考えると芭蕉の新しさや工夫が見えてきます。
また、もともと俳諧は、5?7?5の一句で完結するものではなく、5?7?5に7?7を続け、さらに5?7?5を続ける「連句」という形式が中心でした。独りで作品を作るだけではなく、集団で楽しむものだったのです。芭蕉もたくさんの人といっしょに作品を作っています。従って、作品理解のためには俳人同士のつながりもおさえておく必要があります。私のim体育官网_im体育平台-app|下载はこうした俳諧作品の読解や俳人の交流の解明が中心です。特に今は江戸初期の宗因、中期の蕪村を対象としています。
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江戸時代の文学作品には、きちんと解読されていないものがたくさんあります。特に俳諧はまだわからないことだらけなのです。宗因は謡曲や『源氏物語』や『古今和歌集』など多くの古典のパロディ作品を作ります。蕪村は句と絵でひとつの世界を創る「俳画」を得意としました。さあこの面白さがわかるかな? この工夫がわかるかな? と問いかけているのです。そうした作者の謎かけに挑戦してゆくのはとても楽しい作業です。もとになっている作品を調べ、さらにどうひねったかを考えて、「そうきたか」と作者の手並みに感嘆する……一度この喜びを味わってしまったらもうやめられません。また、当時の人達がどのように古典を味わっていたのか、どのような形で自分の作品を提供していたのか、どのように都会と地方の俳人たちがつながっていたのか、それらを追求してゆくことは、江戸時代の人々がどう暮らしていたのかの解明にもつながります。