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英語文化コミュニケーション学科生らが新国立劇場で『ピローマン』を鑑賞

10月12日(土)、英語文化コミュニケーション学科生、大学院生ら15名が、イギリスの劇作家?映画監督マーティン?マクドナーの代表作『ピローマン』の舞台を新国立劇場(渋谷区)で鑑賞しました。

架空の全体主義国家の取調室で幕を開ける『ピローマン』は、罪のない「おとぎ話」を通してしか表現することのできない人間の心の深奥についての物語であると同時に、戦争や災害が絶えず、正義が揺らぐ世界における文学や演劇など芸術の「虚構性」の意味と力について、わたしたちに問いかける作品です。

翻訳?演出の小川絵梨子さん(新国立劇場演劇芸術監督)は世界的に活躍されている演出家で、本学卒業生でもあります。本作プロデューサーの茂木令子さん(新国立劇場演劇統括プロデューサー)も本学卒業生で、終演後、訪れた学生たちに声をかけてくださいました。今後、小川芸術監督、茂木プロデューサーを本学キャンパスにお招きしての学内イベントも予定されています。

(英語文化コミュニケーション学科教授 中川僚子)

<学生からの声>
?物語の意義とは、分かり合えない人の考えを変化させ、自らの人生を回顧させることではないかと思いました。このストーリーはさまざまな要素が複雑に散りばめられており、解釈するのにとても時間がかかりそうです。しかし、だからこそ、長く人の心に残り続け、今回のように劇が行われるのだと思いました。(4年生)

?絶望が待ち受けていると知る子どもたちの話からは、現在、戦禍で日々命を繋ぐ世界の子どもたちの姿を思い出さずにはいられませんでした。絶望の中、幼少期から物語を残し続けた主人公の姿からは、自分の生きた証を懸命に残したいという強い意志を感じたとともに、物語には大きな力があると感じました。(修士課程1年)

?『ピローマン』劇は現実なのか、架空なのか、カトゥリアン、ミハイル(知的障がいの兄)は本当に実在するのか、など複雑な現実と幻想が絡み合う世界がグロテスクな台詞と共に展開していく。グロテスクな会話、深刻な場面だけれども、どこか笑いが含まれる舞台に、観客である私は、時に笑っていいのだろうかと、戸惑いの気持ちも起こった。観客の中からも忍び笑いが漏れていた。翻訳の言葉のすばらしさが、私たちにこのような戸惑いの感覚を生んでいったのだろう。(博士課程3年)

新国立劇場にて