政治の意味は「自由」にある、と喝破したアーレントは、主著『人間の条件』に続く政治哲学入門書を書こうとして果たせなかった。その遺稿を再構成して編まれた英語版テクスト(Introduction into Politics)が今日、日本語で近づけるものとなっている。この「政治入門」をじっくり読み解くことで、共同存在とそこに現われる人間的自由について考えてゆく。後期には、戦争と平和の問題を、核兵器をもつ現代と、トロイア戦争の古代とを往還しつつ、多面的に考える。赦しや約束といった活動可能性を開発することになった、ローマ人の政治思想や法思想にもふれる。
テキスト
ハンナ?アレント 『政治の約束』 (筑摩書房)
参考文献?課題図書
Hannah Arendt, The Promise of Politics, Schocken Books ハンナ?アレント『人間の条件』(ちくま学芸文庫) ハンナ?アーレント『政治とは何か』(岩波書店)